研究課題/領域番号 |
01550684
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
引地 邦男 北海道大学, 理学部, 教授 (30000805)
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研究分担者 |
津田 栄 北海道大学, 理学部, 教授職員 (70211381)
竹腰 清乃理 北海道大学, 理学部, 助手 (10206964)
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キーワード | 核磁気共鳴、 / ゲル、 / ゾル-ゲル転移、 / κーカラゲナン、 / 水、 / 自己拡散係数、 / Rbイオン、 / ヒステレシス、 |
研究概要 |
κーカラゲナン水溶液にRbを加えると、κーカラゲナンはゲルを形成し、温度上昇にともない55℃前後でゲルからゾルへ転移する。κーカラゲナンのゾル-ゲル転移に伴い溶媒である水分子の運動がどの様に影響されるかを調べるため、水分子の自己拡散係数をプロトンの核磁気共鳴を通して測定した。試料として、純水、RbC150mM水溶液、5wt%のκーカラゲナン水溶液、これに50mMのBbClを加えてゲルにしたものを用いた。自己拡散係数の測定は、JNMーFX60核磁気共鳴装置に磁場勾配ユニットPL502を付属させ、磁場勾配のもとでのCPMG法によった。純水の自己拡散係数をもとに、装置の磁場勾配を校正した。室温で校正した磁場勾配の値を用いて、純水の自己拡散係数の温度依存性を室温から75℃の範囲で測定した結果、文献値とよく一致した。ついで、50mMRbCl水溶液の自己拡散係数を測定した。室温から75℃の範囲で純水とほとんど同じであった。次に、Rbを含まないκーカラゲナン水溶液中での水の自己拡散係数を測定した。その結果、純水より僅かに小さいが、純水と同様な結果を得た。最後に、Rb50mMを含むκーカラゲナン水溶液について実験を行った。これは、室温でゲルである。ゲル状態での水の自己拡散係数はκーカラゲナン水溶液ゾルの値より小さかった。温度上昇と共に、55℃付近で、ゲル-ゾル転移がおき、値は、Rbを含まないゾルの値に近くなった。温度をゾル状態からは下げて来たときは、ヒステレシスが見られた。この結果はゲル状態では水の自己拡散係数が小さく、ゲル中に水が束縛されていることを示しており、また、ゾル状態に転移すると、拡散係数が大きくなり束縛がなくなる。これらの結果は徴視的な環境でも水の運動が束縛されていることを示しており当然なことと考えられる。ゾル-ゲル転移領域でデ-タが乱れる、これは臨界援和と関連すかも知れない。
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