研究概要 |
アルキン化合物の中で最も単純な構造を有するアセチレンとSO_2のラジカル共重合物であるポリ(アセチレンスルホン)及びアルキル基を有する1-アルキンとして1-ヘキシンと1-ブチンを用いてSO_2との共重合物を合成したが、いずれも交互共重合物のみが得られ、これら共重合物の主領の二重結合のコンフィグレ-ションをIR、ラマン、固体高分解能NMRなどのデ-タ解析から全てEであると決定することができた。また、1-ヘキシンとBrCCl_3の1:1の付加物及びテロマ-の二重結合のコンフィグレ-ションも全てEであった。この理由は、成長ポリマ-ラジカルであるビニルラジカルのすぐ隣のスルホニル基(-SO_2-)と攻撃するSO_2分子の間の立体障害及び静電反発によってZ型のビニルラジカルへはSO_2分子は付加できないためと考えている。 上記の1-アルキンとSO_2のラジカル共重合系に1-オレフィンを添加して三元共重合物を合成し、三元共重合物の組成及び連鎖分布を決定した。すなわち、1-ヘキシン,SO_2,1-ヘキセン(もしくは1-ブテン)の三元共重合物を合成した。三元共重合物中のSO_2含量は仕込みの割合と関係なく常に50モル%であり、1-ヘキシンと1-ヘキセンの和も50モル%であるが、重合温度が高くなるほど1-ヘキシンの多い三元共重合物が得られた。この重合温度による三元共重合物の組成変化は、考えられる2種類の成長末端からの逆成長反応の起り易さの差を考慮に入れることにより説明が可能である。また、三元共重合物の主鎖の二重結合は二元共重合物の場合と同様に全てEであることをスペクトルデ-タの解析から決定した。これら主鎖に二重結合を有するポリスルホンにおけるR-SO_2-Rの共役、すなわち、π電子の非局在化を電子スペクトルから検討したがポリ(1-アルキンスルホン)ではかなりの共役が認められ、ク-ロンポテンシャルの計算結果と併せてミクロ構造を考察した
|