研究概要 |
本研究は、静電場中で、金属アルコキシド加水分解重合させて、生成したゾル中の高分子に異方性を生ぜしめ、その生成過程下のゾルをX線小角散乱(以下SAXSと書く)測定により調べ、さらに粘性のデ-タとも関連づけることを目的とする。ゲル化およびSAXS測定用の装置の整備に関して以下の事を行った。 1.高電圧まで耐えられる静電場中のゲル化装置の整備、高圧電源を購入し種々の電極を試作している。 2.SAXS測定用の試料保持部、サンプル・セル開発作製。ゾル状試料観測用セルとして、窓にマイカ片を用い耐塩酸および耐アルコ-ル性のセルを作製した。テストとして試料を注入したセルを真空槽内に10時間以上放置してみたが溶液がリ-クすることはなかった。 3.粘度測定装置の整備。E型円錐平板回転式粘度計を購入し室温で測定に用いた。 ゲル生成過程の研究は、予備的に無電場下のゲル生成過程をSAXS測定で調べることより始めた。シリコンテトラエトキシドは塩酸を触媒としたとき、加える水の量が少いときファイバ-が、多いとき塊状のガラスができやすいことが知られている。試料は曳糸性が変化する組成 Water/TEOS 比4およびその前後の2,6,20の系についてそのゲル化過程のSAXS測定を行った。例えばSAXS測定より求められるフラクタル次元数は Water/TEOS 比が2,4,6,20と大きくなるにつれ、それぞれ1,66,1,78,1.88,1.94と連続的な増加を示す。従ってそのフラクタル次元数が1.78以下の組成のゾルはファイバ-作製に適していると言える。この次元数の連続的変化とその原子構造の対応についてはこれから考えていきたい。
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