レドックス機能高分子の合成とメディエ-タ-膜への応用

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01550708
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 岩淵 晋 千葉大学, 工学部, 教授 (30009534)
• 研究分担者: 中平 隆幸 千葉大学, 工学部, 助教授 (30009740)
• キーワード: レドックスポリマ- / メディエ-タ-膜 / フェロセン / ルテニウムトリスビピリジル / ダイコ-ト / 銅フタロシアニン / メチルビオロ-ゲン / 光酸化還元特性

研究概要

1.ルテニウムトリスビピリジル錯体ならびにダイコ-ト導入高分子の合成とその光励起電子メディエ-ション機能
ルテニウムトリスビピリジル錯体ならびに分子内電子受容体/リレ-としてN,N'ートリメチレンー2,2'ービピリジニウム(ダイコ-ト)を導入した高分子における光誘起分子内電子移動、電荷分離をその2量体モデルとともに検討し、速やかな電子移動後の逆電子移動の抑制には高濃度の電子供与体(トリエタノ-ルアミン)を要すること、その際ルテニウム錯体の還元体を経るダイコ-ト還元も進行することが示された。上記高分子によるメチルビオロ-ゲンの還元は溶液系ではルテニウム錯体還元体による直接還元が優先し、ダイコ-ト還元体を経るメディエ-ションは顕著には発現しないが、両基質溶体を隔離した膜系ではその発現が強く示唆された。
2.銅フタロシアニン樹脂分散膜の紫外光照射による電子メディエ-ション
種々の高分子中に分散させた銅フタロシアニンテトラスルホン酸ナトリウム(CuPcTS)の紫外光照射に伴う還元反応を検討するとともに、ポリビニルアルコ-ル分散膜による電子供与体(TEOA)および電子受容体(MV^<2+>)溶液間のレドックス反応の光メディエ-ション機能を検討した。TEOA、MV^<2+>が透過しあわない条件下、MV^<2+>溶液側からの光照射はTEOA溶液側からのそれの約3倍高い効率でMV^<2+>溶液中にMV^<2+>の還元体(MV^+)の生成が観測された。溶液系での検討結果からも励起CuPcTSからMV^<2+>への電子移動(いわゆる酸化的機構)で膜メディエ-ションが進行することが示唆され、その有用性が示された。

研究成果

• [文献書誌] 塚本 健人,田口 修二,中平 隆幸,岩淵 晋,小嶋 邦晴,杉浦 猛人: "Photoredox reactions of copper(II) tetrasulphophthalocyanine in polymer matrices under ultraviolet irradiation" Polymer Communications. 31. 108-111 (1990)
• [文献書誌] 中平 隆幸,近藤 和彦,伊藤 静枝,遠藤 晃,岩淵 晋: "Preparation and pHーdependent redox properties of crosslinked poly(vinylferroceneーcoーmaleic anhydride)" Polymer.
• [文献書誌] 中平 隆幸,前嶋 佳人,幸田 豊,岩淵 晋: "Preparation and photoinduced redox properties of polymers having ruthenium trisbipyridyl and diquat moieties" Makromol.Chem.
• [文献書誌] 中平 隆幸,田口 修二,塚本 健人,岩淵 晋,杉浦 猛人: "Photoredox properties of polymerーdispersed copper(II) tetrasulphophthalocyanine.An application to uphill electron mediation under uv irradiation" Makromol.Chem.