研究概要 |
光重合は印刷、エレクトロニクス、歯科医療など広範な分野に応用されているが特に耐水性が要求される分野以外はアクリレ-ト系モノマ-が利用されており吸湿性、機械的強度に問題が残されている。この問題を解決する目的で新規な光重合用モノマ-として一分子中にアクリル基とメタクリル基を有するトリエチレングリコ-ルアクリレ-ト・メタクリレ-ト(TEGAMA)を合成し、可視光線による光重合性や、架橋体の機械的性質を対応するジメタクリレ-ト体(TEGDMA)、ジアクリレ-ト体(TEGDA)と比較検討した。0.5Wt%のCQとN,Nージメチル安息香酸エチルを光開始剤として添加し可視光線を照射して光重合した。照射時間よる残存モノマ-量と側鎖の未反応二重結合率の測定から、照射時間の延長によりTEGAMA 重合率がTEGDMAより高くなることがわかった。また、TEGAMAの重合機構はメタクリレ-ト基同士がある程度優先して重合し側鎖に残存するアクリレ-ト基に反応性があるため架橋が進行するものと推察した。架橋体の吸水率、乾燥及び吸水状態の圧縮強度を評価したところTEGAMAレジンの吸水率、乾燥時の強度はTEGDMAレジンと同程度であり、また吸水による強度低下率もTEGDAレジンに比べ少ないことがわかった。以上から、アクリレ-ト・メタクリレ-トは光照射の延長によりジメタクリレ-トの重合率と光硬化されたアクリレ-トポリマ-の吸水性、強度を改善できるモノマ-であると結論した。
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