側鎖にメソゲン基を持ち、鎖端にOH基を持つテレケリックポリメチルシロキサン(TPMS)を合成した。TPMSの基本的な反応性を調べるため、末端をイソシアナ-ト化したポリエチレングリコ-ルモノオレイルエ-テル(PEON)との反応を試みた。生成ブロック共重合体中のTPMSに対するPEONの比は1.3が最高の値であり、この値はメソゲン基の種類により大きく変わり、PEONを大過剰に用いても、ほとんどブロック共重合体を得ることができない場合もあった。このことは、TPMSの反応性はメソゲン基の種類に依存することを示している。示差走査熱量計により生成物の熱的性質を検討したところ、PEON単位の融解にともなう発熱ピ-ク及びTPMS単位の液晶の転移点によるピ-クがともに明瞭に認められた。このことは、このブロック共重合体がミクロ相分離構造をとっていることを示唆している。メチルメタクリ-ト(MMA)のリビング重合を行ない、末端にイソシアナ-ト基を有するpoly(MMA)を合成し、先と同様にTPMSとの反応を試みたが、この系ではほとんど反応は進行しなかった。TPMSの反応性はケリックスの種類にも依存することが分かる。 メソゲン基を有するメタクリル酸エステル類(MsMA)のリビング重合を確立し、この系を利用してMMAとMsMAからなるブロック共重合体の合成を試みた。ブロック共重合においてもリビング重合の進行を示唆する結果が得られた。すなわち、単分散ポリマ-の生成を確認するとともに、生成ブロック共重合体の分子量は、全てのリビングプレポリマ-から第二段階の重合が開始されたと仮定して計算した値と一致するものであった。ブロック共重合体の熱的性質を検討したところ、液晶相の転多が観察され、この場合もミクロ相分離構造を有していることを示唆する結果が得られた。このように当初の目的に合致する液晶高分子を合成することができたが、その性質については今後の検討を要している。
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