研究概要 |
平成2年度以降の研究計画・方法に従い下記の研究を行った。 1)ポリーrーメチルーLーグルタマ-ト(PMLG)をクロルエチル化し,このポリマ-溶液にアスコルビン酸オキシダ-ゼを加えて,懸濁させ,スピンキャスト法により容易に均一な酵素固定化薄膜を得ることができた。この薄膜はセンサ膜として有効であり,測定条件を変えることにより,Lーアスコルビン酸に対し,1×10^<-6>(mol・dm^<-3>)の濃度範囲で測定可能であり,耐アルカリ性にもすぐれていた。 2)銅含有酵素であるアスコルビン酸オキシダ-ゼの酵素活性に対する金属含有基質の構造の影響を明らかにするために,ポリ塩化ビニルにNーメチルーNーカルボキシメチルジチオカルバヌ-ト基を導入,製膜後,Cu^<2+>,Zn^<2+>,Mg^<2+>等を含む溶液中に浸漬し,キレ-ト化された。これらの膜のLーアスコルビン酸に対する応答性を調べた。まず,金属を含有しない系では,このセンサ膜系では,2.5×10^<-5>〜3×10^<-3>(mol・dm^3)の濃度範囲で検出可能であり,2.5×10^<-5>〜2×10^<-4>および5×10^<-4>〜3×10^<-3>の濃度範囲において,非定常状態(10min.)での定量が可能であった。また,Lーアスコルビン酸に対するセンサの応答は,同濃度のDーグルコ-スの存在下でも再現性が良好であった。次に,酵素固定化金属キレ-ト膜における25℃,水共存下での酸素透過係数に関して,Cu^<2+><Mn^<2+><Fe^<2+><Ca^<2+><Mg^<2+>の序列を得たが,これは主としてこのポリマ-の金属錯体構造や,金属イオンへの水酸化物や水分子の配位などに起因する。酵素固定化金属キレ-ト膜におけるセンサの減少電流値は,鉄,マグネシウムキレ-ト膜ではアスコルビン酸の濃度に対して直線関係を得たが,マンガン,銅,カルシウムキレ-ト膜では直線とならず,酵素と金属との間に相互作用のあることが示唆された.
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