本年度は、厚さ0.5mm、30mm四方のYSZ固体電解質板((株)TYK製)に、燃料極にNiO-YSZサ-メット、空気極に調製法の違う5種のペロブスカイト型酸化物を用いた、単電池での各種実験を行い、最適条件を探索した。ここで、空気極のペロブスカイト型酸化物は、湿式混合法、熱分解法(硝酸塩、酢酸塩)、共沈法により調製した。 次に、外径約28mm、内径約25mm、長さ約300mmの円筒型YSZ固体電解質((株)TYK製)、燃料極にNiO-YSZサ-メット、空気極に硝酸塩熱分解法によるLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3の燃料電池を作成、発電実験を行い、システム化のための基礎的知見を得た。 単電池で得られた知見を以下に示す。 (1)最大出力38mw/cm^2を得た。 (2)硝酸熱分解法によるLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3が、容易に均一な組成の微粉末が得られ、1000℃以下の低温で界面に反応生成物を得ずに焼き付けられ、最も電気特性が良いことがわかった。 (3)通電処理により発電特性の改善が図られることがわかり、特に空気極の特性を良くなることがわかった。 (4)ガス種の影響についても検討し、CO_2や水蒸気の燃料ガスへの混入が発電特性を低下させることが明らかとなった。また、ガス流量はガス種に比べて発電特性に与える影響は少なかった。 円筒管燃料電池の実験で得られた知見を以下に示す (1)最大出力175mw(電極83cm^2)を得た。円筒型燃料電池で最大出力があまり良くないのは、電解質の厚さが1.5mmと厚いことや、電気炉内で温度勾配ができたことによるのではないかと考え、現在、改良を進めている。
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