研究概要 |
1.官能基βージケトン基を有するアクリロイルアセトンポリマ-(PAA)を調製して、二価の金属イオン〔Hg(II),Cu(II),Ni(II),Co(II),Cd(II)〕および希土類金属イオン〔La(III)Ce(III),Pr(III),Sm(III)〕との錯安定度や吸着平衡関係について検討した。錯安定度の順はCu(II)>Ni(II)>Co(II)>Cd(II)であり、IrwingーWilliamsの序列と同じ傾向を示した。また、希土類金属イオンとの錯安定度は元素の原子量が大きくなるにつれて増加する傾向を示した。 2.吸着平衡関係はLangmuirの吸着等温式で表わすことができた。Hg(II),Cu(II)をより選択的に吸着することが分かった。最大吸着量は二価の金属イオンも希土類金属イオンも錯安定度の序列と同じであった。吸着量が少ないのはPAAが直鎖状の高分子であり、ゲル状のためと考えられる。しかし、PAAをジビニルベンゼンで架橋(1ー10%)したが、この架橋範囲では吸着量、比表面積ともに増加させることはできなかった。 3.PAAによる金属イオンの吸着速度を液相境膜における移動と粒子内固相拡散〔拡散係数De_0,De_1で平行して起こる〕の二段階抵抗モデルに基づいて解析した。吸着量の経時変化の実測値と計算値とのCurve Fittingによって、De_0=5×10^<-8>cm^2/S,De_1=2-2.5×10^<-9>cm^2/Sを得た。 4.PAA(40ー60#)を充填したカラム(内径5.5mm,高さ140mm)を用いて、Cu(II)/Co(II),Cu(II)/Cd(II)の分離が可能であることを示した。 5.PAA(60ー80メッシュの硝子ビ-ズに被覆)を充填した内径3.5mm高さ800mmのカラムを用いて、上記希土類金属イオンの相互分離を検討した。pHを調整したHCl溶液を溶離液としたpH段階溶出によって、分離出来ることが明らかとなった。
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