研究概要 |
3次元流れ場全体の乱流特性を定量的に得ることを可能にするのは最終的には乱流場の直接数値計算以外にはないと考えられる。現在のところレイノルズ数が数千以上になると正確な数値解を得るのは難しいが、Navier‐Stokesの方程式の非線型項を高次(本研究では3次以上)の上流差分を用いると高レイノルズ数の流れにおいてもかなり信頼度のある解を得ることが出来るようになってきた。そこで本研究においては、 Navier‐Stokes式の直接数値計算プログラムを種々作成し、改良し、ス-パ-コンピュ-タ-を用いてどの程度の信頼性がある計算結果が得られるか、また乱流現象を長時間(乱れ特性値を得るためには時間平均を行わなければならないので長時間にわたった流れ場が必要である)にわたっての計算が可能か等を明らかにした。すなわちスリットノズルから噴出する3次元空気自由噴流の初期領域から乱流発達領域を含んだ広い流れ場(x/D=0〜50,ただしXはノズル出口より軸方向距離,Dはノズル幅である)の直接数値計算を行った。上記方程式の非線型項である対流項の差分式はエネルギ-保存型になるように工夫している。一方、実験は平均速度分布、速度ベクトル線図、自己相関係数やエネルギ-スぺクトルを含んだ乱流特性値について行い、計算結果と比較し、その評価を行った。その結果、有限差分の格子幅はKolmogorovのミクロスケ-ル約10倍だが、平均速度分布や乱流特性値の計算結果は実験値をよく表現していること、これは流れの形成に主要な役割りをする大きな渦を計算はよくとらえているからで、3次の風上差分法における微小渦の省略は大きい渦の計算結果に大きな誤差をおよぼさないこと、したがって速度ベクトル線図の計算結果も大規模渦の実験値をよく表していること等を明らかにした。
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