本研究では、酸化物超伝導微粒子の製造について、エアロゾルプセスの一つである噴霧熱分解法によるビスマス系酸化物超伝導微粒子の製造について実験的に検討し、製造される微粒子の特性の操作条件による変化および厚膜の製造について検討し次の結果を得た。 1.反応炉の入口から急激に温度を上昇させると、粒子に殻が形成され900〜950℃では、表面が滑らかで、くぼみのある10K相の微粒子が発生した。また800K相のみの板上結晶の凝集体が得られ、700℃では、10K相の粒状の結晶の凝集体が生成された。 2.温度を緩やかに上昇させると、粒子の表面では核生成により生じた微結晶が結晶成長する傾向がみられ、反応炉の入口から急激に上昇させた場合とくらべて、表面の結晶が良く成長し、形状はより顕著となった。3.高温で一度溶触状態とし、そこから結晶成長させると、生成した微粒子は10K相と80K相の混合物であったが、十分な結晶成長により平らで角ばった、しかも中の詰まった粒子が得られた。 4.噴霧熱分解法で得られた粒子を用いて、焼成温度840℃、40時間で焼結体を作製したところ、この焼結体は臨界温度104Kを示した。さらにこの粒子を用いてAg基板上および2枚のAg板の間に厚0.3mmの厚膜を作成した。これらの膜は一度855℃、30分焼成し、室温まで冷やした後、種々の温で再び焼成した。840℃、62時間で焼成したAg板上の厚膜は、104Kで、また835℃、40時間で焼成した2枚のAg板の間の厚膜は、80Kでそれぞれ超伝導状態を示した。
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