1.複合酸化物の調製法として、金属イオンを蓚酸で共沈させる方法が有効であったが、その後の熱処理法が触媒活性を左右する重要なファクタ-であることが判った。そこで、ペロブスカイト型酸化物であるSrCeO_3触媒を用いて検討を行った。ペロブスカイト型構造とするためには、高温で固相反応を行わせなければならないが、反応温度を変えて酸化反応の触媒活性との関連を検討した。固相反応温度を上げると、触媒のBET比表面積は減少するが、触媒の単位表面積当りの活性は増大した。各触媒の反応速度式は変化せず、見かけの速度定数の大きさが変化することが判った。また、反応の活性化エネルギ-も処理温度によって変化しないことが判った。従って、触媒の活性サイトは、どの触媒も同じであるが、その数が処理温度によって変化することが判った。また、その活性サイトに関して、CO_2の昇温脱離によって検討したところ、塩基性点であることが判った。 2.触媒のキャラクタリゼ-ション法について、CeをBサイトにもつペロブスカイト型酸化物を用いて検討した。複合酸化物の光電子分光(XPS)スペクトルから各原子の組成比を求めることは一般に難しいが、表面を化学的に清浄化することによって、満足の行く結果を得ることができた。単一酸化物CeO_2において手法を確立し、複合酸化物に適用したところ、触媒表面ではA/Bが1以上になることが示された。平均粒径とXRDによる構造解析の結果は、ペロブスカイト型構造以外の結晶構造の存在を示していないので、電気的中性条件から表面近傍では酸素空孔またはO^-が多いことが示唆された。さらに、XPS測定では、Ce^<4+>だけでなくCe^<3+>もあることが判り、複合酸化物とすることにより高活性な酸素種を作りやすいことがCeO^2よりも高い活性を示す理由であると、推測された。 3.750℃でのメタンの酸化反応では、Ceを含むペロブスカイト型酸化物はいずれも高い触媒活性を示したが、表面に炭酸塩を形成しやすいもの程高活性であった。しかしながら、反応ガス中に10%二酸化炭素を混合すると、活性は急激に低下した。塩基性点のある種のものが、活性点となることが判った。
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