研究概要 |
グラム陽性桿菌である放線菌,Nocardia amarae YK1が他のバクテリア細胞の凝集を誘導する物質を産生していることを発見し,その物質をFIXと名付けた。FIXは増殖状態にある細胞を凝集させる機能を有していた。しかしその能力は,休止細胞においては見られなくなった。 FIXの凝集誘導は,グラム陽性からグラム陰性までの広い範囲のバクテリアに対して働く,作用スペクトルの広いものであった。FIXが存在するとき,Achromobacter cycloclastus IAM1013,Acinetobacter calcoaceticus IAM1517,Bacillus subtilis IAM1069,Escherichia coli C600ー1,E.coli IAM1239,Flavobacterium Iutescens IAM1667,Klebsiella pneumoniae IAM1102,Micrococcus lutes IAM1313そして Pseudomonas putida IAM1002はそれぞれのフロックを形成した。しかし,B.cereus IAM1029はフロック形成を示さなかった。 発見したバイオフロキュラントFIXを分画したところ,このフロキュラントは少なくとも3つの物質の混合物であることが判明した。個々のフラクション単独では,pH5から7の間で凝集を起こす能力は見られないが,それらを混合するとpH7において,協同作用による凝集が観察された。赤外分光光度デ-タから,各フラクションの主成分はペプチドである可能性が示唆された。ペプチド骨格をタンパク分解酵素により分解すると,凝集活性は失われた。発現したFIXは,これまでに報告のないタンパク性バイオフロキュラントであると結論できた。
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