(a)厚みダクト従来、厚みを考慮しない気流ダクトによる音波伝播と放射については、G.F.CARRIER(Quart.App.Math 1956)、G.W.Johnstoneら(J.A.S.A.1980)によってウィ-ナ-・ホッフ法による解析が試みられた。筆者は、気流のない厚みダクトについての安藤(ACUSTICA1969/70)の解析を気流ダクトに応用した。厚みのある気流ダクトで重要な点は、解析において、関数の正則性、複素量のリ-マン面での取扱、スプリット関数の振舞などであることを認識した。G.W.Johnstoneらの示した気流ダクトでのスプリット関数は安藤らの用いたものと簡単な関係式で結ばれているので、とりあえず安藤らのスプリット関数を本学大型計算機IBM3081-K32を使って広範囲かつ任意のkaに対し高精度で計算することを試みた。そこではその計算機の有する特殊関数J_1、N_1、I_1、K_1や数値積分のライブラリ-を積極的に利用した。 M系列信号発生器(ハ-ド、ソウト共に製作)、クロックパルス発生器、ディジタルディバィダ(製作)、ロ-パスフィルタ(製作)、A/D変換器、パソコンよりなる高精度M系列信号測定システムを検討した。細い1/4'マイクやプロ-ブマイクを用いた伝達関数法による気流ダクト中の音の測定も検討した。 (b)吸音ダクト 気流なしの吸音ダクトについて1)固有値方程式を微分方程式に帰着させ、固有値を解けた。2)よって減衰が求められるようになった。3)大型計算機で放射を計算するため、開口両面における音圧、粒子速度の連続の式を誘導できたので、ウィ-ナ-・ホップ法で解ける見込みを得た。 吸音性気流ダクトについて1)佐々木(音学誌1981)が固有値方程式を示しており、同様に固有値、2)減衰を計算できる見込みが得られた。3)放射については、気流、吸音性の要因により解析は同様であるが式が複雑になることが分った。
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