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1989 年度 実績報告書

作物の「急性萎凋症」の発生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 01560014
研究機関東京農工大学

研究代表者

平沢 正  東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015119)

キーワード水稲 / キュウリ / 穎花の白化 / 萎凋 / 葉の水ポテンシャル / 穂の水ポテンシャル / 拡散抵抗 / 水の通導抵抗
研究概要

作物は土壌に水分が十分あっても、ある条件下で体内水分が急激に減少して茎葉あるいは穎花が枯死することがある。これは一般に「急性萎凋症」と呼ばれ、作物の収量、品質に著しく影響することがある。本研究の目的は根からの吸水と茎葉あるいは穂からの蒸散とに着目して「急性萎凋症」の発生機構を解明するもので、水稲穎花の白化、枯死、キュウリの葉の萎凋、枯死に関しては、本年度は以下の点が明らかとなった。
1.水稲においては、高温、乾燥条件では風速の増加に伴って穂の拡散抵抗が小さくなり、蒸散速度は増加し、穎花の白化、枯死の程度も風速とともに増加すること;穎花の白化は穂の水ポテンシャルが約-9barに低下すると認められ、水ポテンシャルの低下とともに、穎花の白化程度は増加すること;水の通導抵抗の大きい水稲では穂の水ポテンシャルの低下程度が大きく、穎花の白化も多くなること;がわかった。
2.キュウリにおいては、萎凋した個体は萎凋の認められない個体に比べて、(1)中、下位葉の水ポテンシャルは著しく低く、拡散抵抗も大きいが、生育後期には葉の水ポテンシャルの低下の割には拡散抵抗は大きくならない、(2)吸水を含む根から葉までの水の通導抵抗が大きい、(3)茎基部からの出液速度は常に著しく小さい、ことがわかった。しかし、直射光を受けている状態での茎と葉の間の水の通導抵抗、茎基部を水中で切断することによって測定した茎基部と葉の間の水の通導抵抗には萎凋した個体と萎凋の認められない個体の間で相違はなかった。
以上の結果から、高温、乾燥、強風条件における水稲穎花の白化、枯死、収穫期のキュウリの萎凋、枯死には、葉や穎花への水の供給が著しく低下することや葉あるいは穎花が水分損失を充分制御できなくなることが関係していると推察された。これらについては、他の作物の「急性萎凋症」の発生機構と併せて次年度でさらに詳細に検討する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 平沢正: "生育条件の異なるヒマワリの土壌乾燥に対する反応の相違-トウモロコシとの比較-" 日本作物学会関東支部会報. 4号. 95-96 (1989)

  • [文献書誌] 平沢正: "収穫期のキュウリに認められる葉身の萎凋の発生要因について" 日本作物学会紀事. 59(別1). (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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