実験1:予備冷蔵温度が促成ボタンに及ぼす影響について実験を行った。供試品種は‘花競'及び‘花王'で、それぞれ接ぎ木二年生苗を用いた。予備冷蔵温度は8℃医12℃、15℃及び19℃で、10日間処理した。別に無処理の対照区を設置した。12℃や15℃区は対照区に比べ、花芽の発育が進む傾向を示した。しかし8℃や19℃区では、逆に遅れる傾向を示した。発芽日や開花日は、花芽の発育が進んでいた12℃や15℃区が早い傾向を示した。また‘花王'の場合、12℃区の開花率は67%で最も高く、予備冷蔵温度と処理期間によっては、開花率が向上するものと思われ、有望である。一方‘花競'については、予備冷蔵によって発芽や開花が促進されるものの、予備冷蔵温度が低くなるほど開花率は低下した。これは実験2で明らかになるように、生育初期温度がやや高く維持されたために生じたものであろう。 実験2:予備冷蔵の有無と生育初期温度が、促成ボタン(品種‘花競')に及ぼす影響について実験を行った。15℃10日間の予備冷蔵区と対照区を設定した。また苗植え付け後10日間、栽培温度を変えて促成を実施した。生育初期温度はH〔23℃(昼)-17℃(夜)〕、M(20℃-14℃)及びL(17℃-11℃)の3温度区であった。予備冷蔵によって花芽の発育が進んだ。また予備冷蔵処理区は、発芽や開花が促進され、生育の初期温度が高いほどその効果は大であったが、開花率は激減した。対照区の場合、生育初期温度が開花率に及ぼす影響はに比較的少なかった。予備冷蔵区、対照区ともに、生育初期温度が低いほど開花率は向上した。予備冷蔵の有無にかかわらず、切り花形質はまずまずであった。 以上の結果から、予備冷蔵によって開花が早くなり、‘花王'については開花率も向上した。しかし‘花競'の場合、予備冷蔵処理された苗は、開花率向上のために生育初期温度を低く維持する必要がある。
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