研究概要 |
リンゴ、ナシ等の生果汁中に含まれるポリフェノ-ル酸化酸素及びその基質であるポリフェノ-ル化合物を、イオン交換体等を用いて吸着除去することにより生果汁の酵素的褐変反応を防止しようと試みた。 [1]上記果実に0.25〜0.5%になるようにアスコルビン酸を添加して迅速に磨砕した後、綿布濾過および遠心分離(8000rpm)を行い透明生果汁を得た。この生果汁を30℃でincubateし、経時的に吸収スペクトルを測定した。差スペクトルにおいては、325nmに負のピ-ク、380nmに正のピ-クが出現し、生果汁中にクロロゲン酸(Chl)及びカテキン(Cat)類に対する酸化酵素活性の存在することが推定された。[2]生果汁20mlに吸着剤各1gを添加し5分間振盪した。その濾液について調べた結果、吸着剤の種類により活性物質の吸着力にかなりの差があることがわかった。[3]モデル果汁を調整し、その500mlをペリスタポンプを用いて可変型カラムに約80ml/lhrの速度で送液したところ、UV-モニタ-及びデ-タ処理装置は正常に作動し、試料忠の活性物質はカラムに吸着された。[4]モデル果汁については、供試した7種類の吸着剤のうち、DEAE-トヨパ-ル及びDEAE-セルロファインは酸化酵素活性を選択的に強く吸着したが、ポリフェノ-ル(Chl,Cat)の吸着力は弱かった。またダイヤイオン及びキトパ-ルは酵素活性並びにポリフェノ-ルともあまり強く吸着しなかった。これに対して、陰イオン交換樹脂には酵素活性及びポリフェノ-ルともに強く吸着するもの、ポリフェノ-ルは強く吸着するが酵素活性はそれほど吸着しないもの及び酵素活性もポリフェノ-ルもあまり吸着しないものなど3型のあることがわかった。そこで、吸着力の強かったカラムを用いてナシ、リンゴの生果汁を処理した。しかし、生果汁の場合はカラム通過前に褐変したり、処理中にカラムのフィルタ-の目ずまりを起こした。今後吸着力方式等についてさらに検討を要する。
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