緑化用樹種の植栽可能地域区分を日本を中心に行なった。新たに日本に導入されると考えられる樹種について、欧米各国で出版されている緑化用技術書から抽出した。またそれらがどような気温耐性をもっているかを、欧米の主要植物園の植物目録から調べ、デ-タの整合性について検討した。日本における類似種との関係から、さらにその他の特性についての検証を試み、植栽分布を知るためのデ-タベ-ス作成のための基礎デ-タを整備した。既住の世界の気候図から最低気温をもとに、緑化環境気候図を作成した。これはデ-タの精度と入手可能のバラツキを考慮し、米国のデ-タが最も詳しいことから、USDA方式による区分が汎用性の点で望ましいことを確認した。この方式は過去の最低気温の極値の平均値を用いているが、観測値のないところでは、地形を基軸に標高差による変異を推定する手法をとらざるを得なかった。とりわけ日本のように地形の複雑な地域にあっては、緑化の対象となる居住地域が広く分布しており、気候デ-タも対象地の資料が必ずしも入手できないことも多かったので、計算による補正を行なわざるを得なかった。次にこの気候地域区分図をメッシュマップ化し、各メッシュに存在する樹木の種を抽出し、とりわけ北限と南限に相当する分布境界に存在する樹種について、気候デ-タとの相関を計算した。最低気温の極値とをよく整合するものもあったが、他の気候デ-タとの関連を考慮に入れなければ説明のつきにくいものもみられた。これらのマップの上に、各樹種の植栽分布図を重ね合わせて表現し、これを植栽可能地域区分とし、メッシュマップ化したものをコンピュ-タに入力し、その出力が図示できるよう試みた。
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