トマトの葉緑体のDNA分析は、放射性物質をプロ-ブとして用いない方法で単離に成功し、制限酵素で切断した後、アガロ-スゲル電気泳動法で分離ができるようになった。この方法で、栽培種のトマト(L.esculentum)と野生種(L.pimpinellifolium)のDNAバンドを比較した結果、両種は、検出された91本のバンドのうち、87本が共通で、残り4本のうち、2本ずつは、どちらか一方の種に特異的に検出されることがわかった。しかし、トウモロコシの葉緑体のDNAは、検出することができなかった。 トマトと同じく、ナス科のタバコやナスでは、プロトプラストからの再分化が比較的容易で、トマトでもプロトプラストからの再分化に成功したとする報告があるが、トマトは、タバコやナス、キク科のレタスなどに比べるとプロトプラスト培養は困難な植物であることが知られた。そこで、同じトマト属で、プロトプラストからの個体の再生が比較的容易とされている前述のトマト属の野生種(L.pimpinellifolium)を用いて、プロトプラスト培養を行なった。しかし、その野生種を用いてもプロトプラスト培養には成功しなかった。 このように、プロトプラスト培養は成功しなかったが、並行してトマトのプロトプラストとトウモロコシのクロロプラストの融合も試みた。融合は、電気的パルスにより行ない、肉眼では、一部融合が観察されたが、分裂が見られなかったので、融合したものかどうかの判断はできなかった。
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