プロテインA-金コロイド法を用いてタバコモザイクウイルス(TMV)およびブロムモザイクウイルス(BMV)の遺伝子翻訳産物(非構造及び構造蛋白質)の宿主細胞内における局在を検討した。 TMV:タバコ培養細胞プロトプラストにおける130KD及び180KD蛋白質と外被蛋白質の局在を経時的に調べた。130KD蛋白質については金粒子が接種4時間後に細胞質基質の封入体に認められ。この封入体は初期には小さく、不定形であったが、その後大きさを増し、楕円形となった。この封入体には180KD蛋白質も同時に集積した。しかし、その量は前者の約1/10であった。これらの蛋白質はTMV-RNAの複製酵素あるいはその一部であると考えられているので、以上の結果はTMV-RNA複製の場が細胞質であることを示している。外被蛋白質については接種4時間後に細胞質基質の一部に金粒子が認められた。その後この部位にはウイルス粒子の集塊が認められ、大きさが増加したが、金粒子は主に、この上に観察された。しかし接種48時間後には細胞質基質の他の部位にも少数の金粒子の標識が認められた。核など他の細胞内器官にはいずれの時期にも金粒子の特異的標識は認められなかった。以上の結果はTMVの外被蛋白質が細胞質基質で合成され、すみやかに粒子を形成することを示している。 BMV:オムギ葉細胞内におけるBMVの3aおよび外被蛋白質の局在を調べた3a蛋白質については金粒子は細胞質基質の電子密度のやや高い部位に認められた。外被蛋白質については金粒子が細胞質基質全体に多数観察され、核にも少数認められた。しかし、葉緑体、ミトコンドリア及び液胞には金粒の特異的標識は認められなかった。 また、ジャガイモXウイルスについては遺伝子のクロ-ニングを行った。今後これらの遺伝子翻訳産物の抗体を作製し、プロテインA-金コロイド法によりその細胞内局在を検討する予定である。
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