研究概要 |
タバコモザイクウイルス(TMV)の130K, 180K 30K及び外被蛋白質のタバコプロトプラクストにおける局在とブロムモザイクウイルス(BMV)のオオムギ葉細胞における局在とをプロテインAー金コロイド法により調べ 次の結果を得た。 TMV;抗130K蛋白質抗体による染色では金粒子の標識はウイルスの感染により細胞質に生じる顆粒状封入体に局在して認められた。この封入体は接種4時間後に認められ始め、その後時間の経過とともに数が増加し細胞質に数個観察されるようになった。この封入体の大きさはウイルスの増殖の盛な時期に比較的小さく、ウイルスの増殖の低下し始めた時期に急速に増大した。また180K蛋白質も同じ封入体に局在したが、その量は130K蛋白質の約1/10であった。抗30K蛋白質抗体による染色では金粒子の標識は細胞質に認められたが、アクチノマイシンDを処理したプロトプラストでは標識される金粒子の数が著しく増加した。この金粒子の標識部位は電子密度が低くなり、細網状構造が認められた。抗外被蛋白質抗体による染色では、金粒子の標識は接種4時間後に細胞質の一部に認められ、この部位に接種6時間後頃からウイルス粒子の集塊が観察された。このウイルス粒子の集塊は時間の経過とともにその数と大きさが増加したが、金粒子の標識はウイルスの増殖の盛な時期にはウイルス粒子上にのみ認められ、ウイルスの増殖の低下する時期になるとウイルス粒子の認められない細胞質の部位にも観察された。 BMV:抗3a蛋白質抗体による染色では金粒子の標識は細胞質のBMV粒子の集塊に附隨する電子密度の高い不定形の物質上に認められた。抗外被蛋白質抗体による染色では金粒子の標識は細胞質全体に観察され,特にウイルス粒子の集塊上には多数認められた。核にも少数の金粒子の標識が認められた。しかし、他の細胞内器官には金粒子の標識は認められなかった。
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