研究概要 |
平成2年度の研究成果は次の4つで、2種の果実吸蛾類で実験した。 (1)超音波発生装置の製作。 従来の超音波発振駆動方式の限界から、パルス駆動型の増幅装置と、圧電式のセラミックス振動子の電歪型超音波発振装置の製作を実現させた。これは、時間間隔の振幅位相を変えたパルス的な鋸波状波の衝撃波の振動加圧放射による空中放射であり、虫体にショック波となる。また、任意の時間軸、周波数軸の信号が出せるデジタル処理回路を内蔵させた全く新しいスピ-カ-と駆動システムである。50kHzで1kΩのインピ-ダンス特性を有し、ブリッジ配線接続で64個からなるアレ-を2列並列した128個の蜂の単構造の集積アレ-型スピ-カ-で、長方形平板パネルである。最大出力300w、連続駆動出力120W、周波数帯域20ー75kHz、最大音圧120dB,半減圧距離8mの優れた性能を有する。 (2)超音波信号に対する吸蛾の反応行動の力学的測定。 ストレンゲ-ジ法によって固定飛翔中の蛾に対し、20,30,40,53,70kHzの超音波信号を照射して退避行動の力学量を測定して効果の程度を測定した。信号への反応率と変化量は20kHzで最大となり、反応率75.5%、変化量1.835V(=0.232g)を示したが、周波数が上昇するにつれて値が下降し、53kHzでは33.6%、1.225V(=0.155g)、70kHzの信号には4.2%,0.948V(=0.1120g)となり、蛾の逃避行動は周波数20ー30kHzで最大となり、効果が顕著となることが判明した。 (3)超音波信号に対するフライトミルによる飛翔行動の変化の測定。 1周するに4個のホトセンサ-を設置し、各種の信号に対する変化の様相を測定し、信号が固定飛翔にどの程度効果があるかを観察した。 (4)超音波信号に対する吊り下げの固定飛翔行動の変化量の測定。 周波数17,18,20,25,30,53,70,90kHzの超音波パルス波の反応を測定。
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