1.がんしゅ病の発生と環境条件 本病の発病環境について検討した結果、高濃度の病原放線菌は、メロンの幼植物に対し立枯を起こし、その程度は栽培土壌により異なった。土性の異なった土壌(pH無調整)では、5種のすべての土性の土壌で発病がみられたが、発病程度はシルトや粘土が多いシルト質埴壌土と埴壌土で激しく、砂が多く含まれる砂質壌土と壌質砂土で軽減された。15〜35℃の土壌温度では、25℃以上で激しく発病し、とくに35℃の高温で最も激しく、20℃以下では軽減された。土壌pHの影響は、pH6.5〜7.0において特に激しく発病したが、6.0と7.5ではやや低下し、5.5以下では発病しなかった。土壌水分との関係は、潅水開始pF値が2.4区において最も高い発病を示し、次いでpF1.8区、pF2.7区の順であった。汚染土壌の湛水処理の影響は、水稲栽培の1作後の現地圃場では発病がみられ、また、接種汚染土壌の湛水処理では、150日間処理した場合でも本病原放線菌の完全な不活化は認められなかった。 2.形成こぶの組織学的観察と病原放線菌の存在部位 がんしゅ病のこぶ形成にともなう根部の組織学的観察を行った。光学顕微鏡による形成こぶの切片の観察では維管束周辺に本病原放線菌の存在と思われる染色部がみられ、増殖の場となっているものと考えられた。また、走査型電子顕微鏡によるこぶの割断面の観察では、がんしゅ病菌は維管束とこぶ中に含まれる維管束構造物、およびその周辺組織において、連なった小型の胞子塊状を呈して存在していた。根箱栽培による根部の観察では、接種汚染土壌に播種したメロンは、播種後7日目ではこぶの形成はなく、根の分枝部の破壊溝付近において菌の存在と思われる染色部分がみられた。その後14日目ではこぶの形成を認め、維管束周辺の内皮の部分に同様の染色部がみられ、その付近の細胞は増生していた。
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