1.メロンがんしゅ病菌について、分類学的性質に基づき種の検索後、その近似菌群と比較試験を行った結果、本菌と同一の性質を示す対照菌種はみられず、それらの菌種とは明らかに異なっていた。よって、現在までの研究結果では本菌の該当種は存在しないようであり、Streptomyces属の新菌種ではないかと考えられるが、分類体系の整理にともなう再検討を必要とする。 2.本病病原放線菌のより確実な分離方法について検討した結果、羅病形成こぶからの分離は、分離源を140倍のフェノ-ル水溶液で10分間処理後、B培地で28℃、5日間培養して分離する方法が効果的であった。 3.発病環境について検討した。高濃度の病原放線菌は、メロンの幼植物に立枯を起こし、その程度は土壌により異なった。土性の異なった土壌(pH無調整)では、発病程度はシルト質埴壌土と埴壌土で激しく、砂質壌土と壌質砂土で軽減された。15〜35℃の土壌温度では、25℃以上で激しく発病し、とくに35℃で最も激しく、20℃以下では軽減された。土壌pHは、6.5〜7.0で激しく発病したが、6.0と7.5ではやや低下し、5.5以下では発病しなかった。土壌水分は、潅水開始pF値が2.4区で高い発病を示し、次いで1.8区、2.7区の順であった。湛水処理の影響は、水稲栽培1作後の現地圃場では発病がみられ、また接種汚染土壌の150日間湛水処理でも病原放線菌の完全な不活化は認められなかった。 4.がんしゅ病のこぶ形成にともなう根部の組織学的観察を行った結果、こぶ形成前の根の分枝部の破壊溝付近において菌の存在と思われる染色部がみられ、その後こぶ中の維管束周辺に同様の染色部を認め、増殖の場となっているものと考えられた。また、走査型電子顕微鏡による観察では、本菌は維管束とこぶ中に含まれる維管束構造物、およびその周辺組織において、連なった小型の胞子塊状を呈して存在していた。
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