研究課題/領域番号 |
01560073
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 雅広 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (10160772)
|
研究分担者 |
平井 英明 京都大学, 農学部, 助手 (20208804)
間藤 徹 京都大学, 農学部, 助手 (50157393)
佐藤 光 九州大学, 農学部, 助教授 (70128031)
|
キーワード | イネ / N-メチル-N-ニトロソウレア / Oryza sativa / 耐塩性 / 突然変異 / ナトリウム吸収 |
研究概要 |
原品種金南風と最も耐Nacl性を示す突然変異系統のM4種子幼植物に於けるNacl吸収特性を比較するため0.5%Naclを含む培養液で4日間育て、茎葉部と根部のNa含有率を調べた。金南風のNa含有率を100%とした場合、耐Nacl性系統に於いては茎葉部で70%、根部で210%であった。耐塩性イネNona Bokraも同様にして茎葉部と根部のNa含有率を調べたところ、茎葉部で金南風の45%、根部で170%であった。これらの結果、選抜した耐Nacl性突然変異体は耐塩性イネNona Bokraで見られる根部に於けるNa吸収量は多いにもかかわらず茎葉部への輸送量を低く抑える機能を有することが判明した。 高塩環境下に適応して生育出来るイネ科植物のヨシとイネのNa吸収特性を調べた。その結果、ヨシはNaの茎葉部への輸送量を低く抑える一方で茎葉部のNaを根部へ再輸送することにより茎葉部のNaを低レベルに調節する機能を有していること、一方、イネでは茎葉部からのNaの再輸送機能はないことが判明した。ヨシは海水と同じレベルのNa濃度に於いても生育可能であるが耐塩性イネNona Bokraの場合完全に枯死してしまう事実を考慮するとイネとヨシにおけるNaの吸収移動には基本的に異なった機構が働いていることは明らかである。従って、Naの吸収速度の低い突然変異体が耐塩性イネ生育の育種素材となると結論した。 現段階ではNaの吸収速度の低い変異体を選抜し育種素材を数多く獲得してゆくことが重要である。現在得られている耐Nacl性系統はNona Bokraに比べ耐Nacl性は低い。従って、より高い耐性を有した系統の選抜をするためTaichung65とIR36から誘発した突然変異系統のM3種子を用いて選抜を行っている。更にN-メチル-N-ニトロソウレアによる受精卵処理を他品種についても行う計画である。
|