研究概要 |
昨年度に引き続き、環状オリゴ糖であるシクロデキストリンを化学修飾することによって、硝酸イオンを選択的に結合するホスト化合物を合成するとともに、これを有機溶媒に可溶化させるか、ポリマ-に固定化することにより環境水中から硝酸イオンを選択的に分離・捕捉する材料を開発するための研究を行った。 1)昨年度に開発した有機溶媒可溶性のホスト化合物の硝酸イオンに対する選択的結合能を定量化することを目的として,各種無機アニオンの拮抗阻害作用に関するデ-タを数値解析した。このホストは環境水中に含まれる無機アニオン類の中では硝酸イオンを圧倒的に強く結合することを明らかにした。 2)αーシクロデキストリンのモノピリジニオ化物を架橋型ポリマ-およびペンダント型ポリマ-に固定化し、それぞれについて硝酸イオンの吸着特性を測定した。硝酸イオンはいずれのポリマ-に対してもラングミュア-型の単層吸着特性を示し、かなり高い吸着平衡定数を与えた。しかし最大吸着量はシクロデキストリン含有量に達しておらず、結合部位が十分にその機能を発揮するまでに至っていないことも判明した。 3)シクロデキストリンの一級水酸基の全てをブチルアミノ基で置換したホスト化合物を合成し、その硝酸イオン結合能を調べた。この化合物は酸性水溶液中で硝酸イオンを未修飾シクロデキストリンの50倍ほど強く結合することが判明したが、なおホストとしては不十分であった。他方、このホストは硫酸イオンに対して極めて高い結合力を示し、特にβ型ホストにおいてその傾向が顕著であることを見出した。 4)以上の結果をまとめて研究成果報告書を作成した。
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