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1990 年度 実績報告書

土壌ー植物系におけるセレンの存在形態と挙動

研究課題

研究課題/領域番号 01560078
研究機関京都府立大学

研究代表者

山田 秀和  京都府立大学, 農学部, 講師 (60094405)

キーワードセレン / 土壌 / 土壌セレン / 可溶性セレン / セレノアミノ酸 / トリメチルセレノニウムイオン
研究概要

1.京都府亀岡盆地の耕地土壌を対象に,土壌の0.1M硫酸ナトリウム溶液可溶性Seの形態を検討した。可溶性Seの平均濃度は21.8ppbで,各形態のSeの平均濃度と存在割合は,有機態15.0ppb,69%,Se(IV)4.8ppb,22%,Se(VI)1.9ppb,9%で,有機態Seが土壌の可溶性Seの主な形態であることが認められた。さらに有機態Se濃度と土壌pHとの間にr=0.70の,またSe(IV)と土壌pHとの間にr=0.80の相関が認められた。pHの上昇に伴う土壌中の有機物やSe(IV)塩の溶解に起因するものと推定された。一方,Se(VI)濃度とpHの間には顕著な関連性は見られず,高pH域でのSe(VI)塩が安定な傾向は認められなかった。
2.可溶性有機態Seとしてトリメチルセレノニウムイオン(TMSe)の可能性を検討するため土壌のTMSeの定量法を検討した。その結果,土壌のTMSeを0.2M塩酸に抽出後,イオン交換法で単離する方法を確立した。この方法を風乾土壌に応用したところ,TMSeの存在は認められなかった。そこで土壌にTMSeを添加してその挙動を検討した。TMSeは土壌微生物によって速やかに分解され多くがガス状化合物に変化することが認められた。この結果から,TMSeが可溶性Seとして存在する可能性は殆どないことが示唆された。
3.土壌Seの大部分が0.1M水酸化ナトリウム溶液に土壌腐植と共に抽出され,さらに腐植物質を腐植酸とフルボ酸に分離すると,Seの約半量が腐植酸画分に残りがフルボ酸画分に含まれることが認められた。抽出液に添加した無機態Seが腐植酸とフルボ酸の分離に伴ってフルボ酸画分中に移行したことから,腐植酸画分のSeは有機態で存在するものと推定された。さらにフルボ酸画分のSeも多くが有機態で存在した。これらの結果から,土壌Seの多くが有機態の形態で存在することが認められた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 山田 秀和 ほか: "蛍光検出高速液体クロマトグラフィ-による土壌中のセレンの定量" 分析化学. 36. 542-546 (1987)

  • [文献書誌] 山田 秀和 ほか: "土壌標準試料 NDGー1〜8のセレン含有量について" 日本土壌肥料学雑誌. 59. 103-104 (1988)

  • [文献書誌] Hidekazu Yamada,et.al.: "Forms of soluble selenium in soil." Soil Science and Plant Nutrition. 35. 553-563 (1989)

  • [文献書誌] Hidekazu Yamada,et.al.: "Determination of soluble selenium in soils" Soil Science and Plant Nutrition. 36. 163-166 (1990)

  • [文献書誌] 山田 秀和 ほか: "土壌中の可溶性無機態セレン(IV),(VI)及び有機態セレンの選択的定量法" 分析化学. 39. 151-157 (1990)

  • [文献書誌] 山田 秀和: "耕地土壌の全セレンと可溶性セレンについて" 日本土壌肥料学雑誌. 61. 353-360 (1990)

  • [文献書誌] Yumei Kang,et.al.: "Selenium content and distribution in various Japanese soils" Soil Science and Plant Nutrition. 36. 475-482 (1990)

  • [文献書誌] Yumei Kang,et.al.: "Selenium in soil humic acid" Soil Science and Plant Nutrition.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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