ヒスチジン過剰食の摂取により肝グリコ-ゲンを蓄積させる。この機構を調べ、つぎのことを明らかにした。 1.In vivoにおける肝グリコ-ゲンの合成について ヒスチジン過剰食摂取ラットでは、ラベルしたグルコ-スから肝グリコ-ゲンへのとりこみ速度は対照群とくらべて、約4倍増加した。 2.肝臓における糖代謝の律速酵素活性について グリコ-ゲン合成酵素の活性型の活性はヒスチジン過剰食により約3倍増加した。グリコ-ゲンホスホリラ-ゼの活性型の活性は15%低下した。ホスホフルクトキナ-ゼ活性はヒスチジン過剰食により、29%低下したが、フルクト-ス1、6ビスホスファタ-ゼ活性は変わらなかった。ピルベ-トキナ-ゼ活性はヒスチジン過剰食により、51%低下したが、ホスホエノ-ルピルベ-トカルボキシキナ-ゼ活性に変化はなかった。グルコ-ス6リン酸ホスファタ-ゼ活性はヒスチジン過剰食により、41%低下したが、グルコキナ-ゼ活性は変わらなかった。 3.血中ホルモンの変動 ヒスチジン過剰食によって、血清インスリン濃度は低下した。血漿グルカゴン濃度は変化しなかった。インスリンとグルカゴンの比も低下した。血清コルチコステロンはヒスチジン過剰食によって上昇した。以上の結果、ヒスチジン摂取はコルチコステロンの分泌を促進し、ついで、肝グリコ-ゲン合成酵素活性の上昇、解糖系の律速酵素活性の低下、すなわち糖新生系律速酵素活性の相対的な上昇をひきおこして、さらに、グルコ-ス6リン酸からグルコ-スへの変化を低下させることによって、肝グリコ-ゲンを蓄積させていることを明らかにした。
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