メロンセリンプロテア-ゼはメロン果実の主要タンパク質である。既に報告者は本酵素を均一に精製し、その性質を明らかにすると共に本酵素の果実内での動態を調べた。その結果、本酵素がメロンの受粉後果実の成長初期の短期間に果実内で合成され、果汁中に蓄積することを報告した。これらの結果を踏まえ、以下の実験を行い新知見を得た。 若い果実のtissue blotting分析の結果、本酵素は種子の近辺の組織(主として胎座組織)で合成されることが示唆された。 次にメロン果実よりグアニジンチオシアン酸とCsClを用いる超遠心分離胞とoligo(dT)ーcelluloseカラムクロマトグラフィ-により、小麦胚芽及びウサギ網状赤血球ライゼ-トを用いる無細胞タンパク質合成系で高い鋳型活性を持つmRNAを再現性良く単離できた。そこで生長中メロン果実の種々の組織からmRNAを単離し無細胞系での翻訳産物を比較解析し、果肉と果芯部(主として胎座組織)のmRNAの翻訳産物に相違を認めた。 また抗ープロテア-ゼ抗体を用いて翻訳産物を免疫沈降分析した結果、果芯部mRNAの全翻訳産物の7%が免疫沈澱した。しかし、免疫沈澱物のSDSーPAGEとフルオログラフィ-分析ではプロテア-ゼが主要免疫沈降物としては検出されず、200kD及び48kDの免疫グロブリン結合性のポリペプチドが検出された。 一方、生長中果芯部mRNAより0.3ー9kbの鎖長の長いcDNAを合成した。これをλgtllのEco RI siteに挿入し、in vitro packaging後、大腸菌Y1090R^-に導入し、cDNAライブラリ-を作製した。 現在、抗体を用いてセリンプロテア-ゼcDNAクロ-ンを免疫スクリ-ニング中である。今後は、クロ-ンの単離後、cDNAのファ-ジミドへのサブクロ-ニング、制限酵素地図の作製、ジデオキシ法による全塩基配列の決定等を計画している。
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