研究概要 |
メロンセリンプロテア-ゼ(MSP)はメロン果実の主要タンパク質である。既に報告者は本酵素を均一に精製し、その性質を明らかにすると共に本酵素の果実内での動態を調べた。その結果、本酵素がメロンの受粉後果実の生長初期の短期間に果実内で合成され、果汁中に蓄積することを報告した。また、前年度は、若いマスクメロンの果芯部よりin vitroタンパク質合成系で強い鋳型活性を有するmRNAを抽出、精製し、これから0.3ー9kbの鎖長の長いcDNAを合成した。これらの結果を踏まえ、以下の実験を行い、新知見を得た。 若い果実のtissue blotting分析、及び組織の一部を標識アミノ酸で標識し、合成されたタンパク質を解析した結果、本酵素は種子を包む袋状組織かそれに接した周囲の組織で合成されることが示唆された。 次に、調製したcDNAをλgtllのEco RI部位に組み込み、in vitro packaging後、大腸菌Y1090R^ーに導入し、cDNAライブラリ-を作成した。このライブラリ-について抗ーMSP・ウサギ抗体を用いて免疫スクリ-ニングした結果、6個の陽性クロ-ンを得た。これらの内、5個のクロ-ンの持つcDNAの長さを測定した結果、700ー1,900bpであり、最も長いλMSP28はMSPの全長cDNAに近い長さを有していた。これら5種類のcDNAをファ-ジミドpBluescriptにサブクロ-ニングして、現在その塩基配列を決定中である。 一方、若いメロンの葉よりCTAB法でDNAを抽出し、Sau3Aで部分分解して10ー20kb長のDNAを調製した。これをEMBL3のBam HI部位に組み込んで大腸菌に導入し、遺伝子ライブラリ-を作成した。今後は続けてcDNAの構造決定と共に、単離したcDNAをプロ-ブとしてMSPの遺伝子をクロ-ニングし、その構造解析を行い、MSPの果実特異的発現に関与する配列を明らかにする計画である。
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