研究概要 |
1.Aspergillus sojaeKをCzapek培地に接種し、30℃で約20日間振盪培養して得られた培養液上清の抗酸化活性はおよそ10,000units/mlであった。この培養液をロ-タリ-エバボレ-タ-で10倍に濃縮し、DEAEーセルロファインカラムに供し、NaClグラジエントで溶出させた。この時の使用バッファ-は50mM酢酸バッファ-(pH4.5)で、活性は0.4M付近で溶出された。この活性画分をセファデックスGー15カラムにかけ、蒸留水で溶出させた。抗酸化活性とニンヒドリン陽性画分は完全に一致した。この画分を凍結乾燥した。 2.この抗酸化物質はエタノ-ルー水(67:33)の溶媒系でTLCを行っても原点から移動せず、その加水分解物はグリシンとアスパラギン酸のRfにスポットが検出された。Nー末端アミノ酸を決定するためDNP化して加水分解し、TLCを行ったところ、グリシンが検出され、Nー末端アミノ酸はグリシンであることが明かとなった。Nー末端アミノ酸を除いた加水分解物をアミノ酸アナライザ-で分析したところ、グリシンとアスパラギン酸のモル比は1:1から1:2へ変化した。このことは抗酸化物質のペプチドはグリシンとアスパラギン酸が2分子づつからなっていると考えられた。抗酸化物質をペプチドシ-クエンサ-で分析したところ、GlyーGlyーAspーAspではないかと考えられる結果を得た。 3.この抗酸化物質に種々のプロテア-ゼ(プロテア-ゼE、プロナ-ゼK)やペプチダ-ゼ(カルボキシペプチダ-ゼY、カルボキシダ-ゼW、アミノペプチダ-ゼ)を作用させが活性は全く減少しなかった。この結果、この抗酸化物質は通常のペプチド結合ではない、あるいは前記の酵素の作用を妨げる物質が結合しているのではないかと考えられた。 4.既存の抗酸化物質や抗酸化剤とA.sojaeKから分離した抗酸化物質の抗酸化活性を魚油の酸化抑制効果などで比較検討した。
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