研究概要 |
以前より蛍光色素としてfluorescein isothiocyanate(FITC)と2,4ーdiamidinoー2ーphenylindol(DAPI)を用いてきたが、DAPIは励起光が紫外線であり、使用したFCMの励起光の波長488nmでは励起されないため、新たに蛍光色素を検索した。まず、グルコアミラ-ゼを生産するSaccharomyces diastaticusとαーアミラ-ゼを生産するSaccharomycopsis fibuligeraをプロトプラスト化した。FITCの外に、ethidium bromide、rhodamine B(RB)、rhodamine 6G(R6G)、phycoerithrin B、propidium iodide(PI)の6種の蛍光色素でプロトプラスに染色処理を施し、色素の濃度および処理時間について検討した。また染色処理をしたプロトプラストとしなかったプロトプラストで再生率を比較した。FITCはほとんど影響しない。RBも影響はないが染色に時間がかかる。R6Gは比較的再生に影響を与えず、また染色も容易である。ほかは無効であった。これらのことより以後の実験では細胞膜の標識にはFITCを、ミトコンドリアの標識にはR6Gを用いることにした。融合細胞の二重蛍光標識は共焦点レ-ザ-顕微鏡による観察でも確認した。 セルソ-タ-では融合細胞を分取し、再生させて融合株とし、多数を得た。サンプルの全細胞の内で目的とする分画には約1%が分布し、その内のさらに1%ほどが再生した。結局10^<ー4>の頻度で融合株が得られた。 融合の効率を上げるために両方の株の一倍体も調制し、用いた。 細胞融合の確認は親株、融合株を培養し、PIで染色してセルソ-タ-でその蛍光強度を測定することにより(相対的な)核酸量を測定して行なった。核酸量の分布のヒストグラムのパタ-ンは多様であった。またパルスフィ-ルド電気泳動によって染色体を分析して確認した。
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