酵母の一方の細胞膜と一方の核を別々の方法で蛍光標識してから細胞融合を起こさせ、蛍光顕微鏡で観察して融合細胞を両方の標識を持つ細胞として判別し、分取する作業(二重蛍光標識法と呼ぶ。)をセルソ-タ-によって行ない、多量のサンプルから多数の融合株を効率的に得る方法を考え、この方法をグルコアミラ-ゼを生産するSaccharomyces diastaticusとαーアミラ-ゼを生産するSaccharomycopsis fibuligeraとの間の細胞融合などをモデルとして検証した。 セルソ-タ-が識別できる蛍光色素を検索し、蛍光スペクトルの測定や実際のソ-ティングにより最適条件として細胞膜の標識にはfluorescein isothiocyanate(FITC)、ミトコンドリアの標識にはrhodamine 6G(R6G)を用いることにした。融合細胞の二重蛍光標識は共焦点レ-ザ-顕微鏡による観察でも確認した。 セルソ-タ-では別々の蛍光色素で標識したそれぞれの菌株のプロトプラストを分析し、個々の細胞が放出する2種の蛍光の強度に基づく分布のパタ-ンを読み取る。それに基づいて細胞融合の処理をした細胞群を流して分析し、両方の標識を持つ細胞分画の分布すると思われる範囲を決定する。その分画に分布する細胞を分取し、再生させて融合株とし、多数を得た。サンプルの全細胞の内で目的とする分画には約1%が分布し、その内のさらに1%ほどが再生した。結局10^<-4>の頻度で融合株が得られた。融合の効率を上げるためにSD株とSF株の一倍体も調製し、用いた。 細胞融合の確認は融合株をPIで染色してセルソ-タ-でその蛍光強度を測定し、核酸量に換算した分布のヒストグラムのパタ-ンを比較し、またパルスフィ-ルド電気泳動によって染色体を分析して行なった。
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