研究概要 |
1.インヒビタ-の化学構造の決定 著者らがAmycolatopsis trehal ostaticaの培養液に発見した新規なトレハラ-ゼインヒビタ-(トレハロスタチン)の化学構造解析を進めた。各種スペクトルテ-ダおよび化学分析の結果,分子式C_<13>H_<22>O_<10>N_2(分子量:366)であり、グルコ-スと未知五炭糖がアミジノ結合で架橋されたユニ-クな疑似二糖様構造であると推論した。このものは化合物としても新規物質である。今後、化学合成によってこのトレハロスタチンを合成し、その構造を確認する計画である。 2.酵素阻害機構の解析 トレハロスタチンはトレハラ-ゼのみを特異的に阻害するユニ-クなインヒビタ-である。その阻害様式を検討した結果、一種の自殺基質タイプのインヒビタ-であり、その酵素阻害は疑一次反応的に進行することを明らかにした。グリコシダ-ゼインヒビタ-としてのこのタイプのものは既知インヒビタ-に知られておらず、その詳細な阻害機構を今後検討したい。 3.大量生産糸の確立 インヒビタ-生産条件を調べ、従来の生産力価を約10倍に高める培養条件を設定することができた。 4.新規インヒビタ-の探索 トレハロスタチンとは異なるインヒビタ-を求め、インヒビタ-の再探索を行った。その結果、有望菌株を3株取得した。このうちの一株について検討を進め、既知インヒビタ-と異なることを明らかにした。今後、これらについてもその構造解析を始め諸性質の検討を計画している。
|