研究概要 |
1.3-デオキシグルコソン(3DG)の生体内代謝:^<14>C-グルコ-スから^<14>C-3DGを合成し,ラットに経口ならびに静注により投与して生体内分布を調べた。経口投与2時間後に,胃に3.9%,小腸に60%,尿に6.4%分布したが,肝臓,腎臓,脾臓,血液およびCO_2には0.5%以下であった。静脈注射3時間後においては,尿に72%排出され,肝臓,腎臓,脾臓,血液およびCO_2には1%以下であった。尿中に排出された3DGの主要な代謝生成物を単離して構造解析した結果,3-デオキシフラクト-スと同定された。以上の結果から,3DGはおもに2-オキソアルデヒドレダクタ-ゼによって還元され,尿中に排出されると考えられた。 2.動植物組織における3DG代謝酵母:3DGを基質とするデヒドロゲナ-ゼおよびレダクタ-ゼを検索した結果,葉菜類の葉にレダクタ-ゼ活性が高いこと,動物組織では肝臓と腎臓にレダクタ-ゼ活性が高いことを明らかにした。パセリの葉,ニワトリおよびブタの肝臓からそれぞれNADPH依存性の2-オキソアルデヒドレダクタ-ゼと精製して性質を解明した。これらの酵素はいずれも3DGをはじめ,メチルグリオキサ-ル,フェニルグリオキサ-ルなどの2-オキソアルデヒドに対して高い基質特異性を示す新規酵素と考えられた。ニワトリ肝臓の酵素を用いて検討した結果,タンパク質のメイラ-ド反応に対して抑制効果を示した。 3.低分子抑制剤によるメイラ-ド反応の制御:カルボニル試薬やSH化合物を用いてタンパク質のメイラ-ド反応に対する効果を検討した結果,アミノグアニジンやセミカルバジッドなどのカルボニル試薬,SH化合物としてはグルタチオンがタンパク質の重合を抑制する効果が大きかった。現在,これらの作用機構を検討中である。
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