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1989 年度 実績報告書

β-1,3-グルカン生合成阻害物質に関する化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01560143
研究機関名古屋大学

研究代表者

坂神 洋次  名古屋大学, 農学部, 助教授 (80107408)

キーワードβ-1,3-グルカン / Phytophthora capsici / Acremonium strictum
研究概要

疾病菌Pytophthora capsiciの細胞壁は、主としてセルロ-スとβ-1,3-グルカンよりなり、この菌の菌糸の形態異常を指標として、真菌の2次代謝産物中より活性物質のスクリ-ニングを行い、Acremonium strictumが、強い活性物質を生産していることを見いだした。本研究は、この活性物質の化学構造を明らかにすることを目的とした。活性物質の分子量は、512でFAB高分解能マススペクトルの測定により分子式C28H32O9と決定した。また水酸基をD置換しFABMSを測定することにより、5個の水酸基の存在が明らかになった。またPMRスペクトルより16,18ppmに水酸基のシグナルを認め、これらは、水素結合したエノ-ル性水酸基に由来すると考えられた。さらにPMR,CMRよりメチル基6個、このうちダブレットメチル2個シングレットメチル4個、メチン8個、4級炭素14個が存在することが判明した。PMRデカップリング測定から、2つの側鎖部分の構造が決定できたが、その他の部分は、4級炭素が多いため構造を推定できなかった。そこで、HMBC法で測定を行い詳細にスペクトルを解析して全構造を推定するに至った。ところが、本物質は、L.S.Trifonovらが1986年にVerticillium intertextumの代謝産物としてすでに構造を決定している。bisvertinoloneと立体構造も含めて同一物と判明した。しかしながらCDスペクトルおよびNOE実験から、彼らが生合成的見地から推定した立体構造が誤っていることが明らかになり、絶対構造を含めて正しい立体構造を提出することが出来た。本物質の生物活性は、知られていないことから、今後in vitroでのβ-1,3-グルカン合成に対する阻害活性や、植物に対する生物活性について検討を加える予定である。

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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