研究課題/領域番号 |
01560146
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
今井 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80109313)
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研究分担者 |
小畑 仁 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (70024594)
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キーワード | カドミウム刺激 / 防護活性ペプチド / 蛍光HPLC / UVーHPLC / cadystin類 / ペプチドの酵素合成 |
研究概要 |
本研究を遂行するに当たってまずcadystin類のHPLC分析法を改良し、いっそうの高感度化、高精度化をはかった。従来は、ペプチド結合に基づく短波長紫外線吸収による非特異的ペプチド検出法を用いていたため、短波長域に紫外線吸収を有する植物成分がすべて検出されるという問題点があった。そこで今回はcadystin類がシステイン残基を多数含むという特性に基づき、そのSH基を特異的に化学修飾し、発蛍光する誘導体(DACM誘導体、Ex395nm、ーEm490nm)、あるいは特異的紫外線吸収を示す誘導体(ビニルピリジン誘導体、λmax255nmn)に変換してHPLC分析する手法を開発した。前者は新たに不整中心が誘起されるという問題はあるものの極めて高感度であるという特徴を有する。後者は感度が前者より若干低いものの不整中心の誘起はなく、各成分の分子種分析に最適である事がわかった。そこで、次に稲中にCd^<++>で誘導合成されるcadystin類の分析に本手法(蛍光法)を適用した。その結果、未処理の稲中に存在するSHペプチドは主としてグルタチオンであるが、稲をCd^<++>処理した場合にはグルタチオン量が激減すると同時にcadystin類が新たに誘導合成されてくる事を判定量的に明らかにした。今回購入した遠心エバポレ-タ-は多種類の試料、特にHPLC分取精製試料、の同時濃縮・乾固に必須であり、研究のどの段階においても極めて重要な役割を演じている。 一方、cadystinの合成はすでに確立している化学的手法から進んで酵素による合成を計画し、現在までにカルボキシペプチダ-ゼYを用い、グルタチオンを基質として、HPLC上でcadystin類と同一の挙動を示す生成物を得ている。今後この生成物を大量に分取精製し、遠心エバポレ-タ-で乾固後、構造確認を行い、研究を進展させる予定である。
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