研究課題/領域番号 |
01560147
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
製造化学・食品
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 民夫 京都大学, 農学部, 助教授 (20026579)
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研究分担者 |
宮川 恒 京都大学, 農学部, 助手 (10219735)
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助手 (30135545)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | マイコアレキシン / さび菌 / 炭そ病菌 / 胞子発芽 / 自己芽抑制物質 / 状菌性物質 / 植物毒素 |
研究概要 |
本研究は当研究室で以前から行なっていたエンバク冠さび病菌の夏胞子が休眠時に含有して、発芽時に放出する自己発芽抑制物質に端を発している。この2年間本研究課題に従って、糸状菌を長期間培養して、養分飢餓・高温・薬物・異種微生物の混入などのストレス条件を与えたときに生成するマイコアレキシンと呼ぶべき自己防御反応に関与する物質について化学的に研究を展開し、それらの生物的意義についても検討を加えた。その結果下記に要約する研究成果を得た。 1.エンバク冠さび病菌の夏胞子の含有する自己発芽抑制物質の構造に基づいて、多数の類緑化合物を合成し、作用機作も同じと考えられる高い生理活性を有する安定な類緑体の作成に成功した。 2.同様の考えを炭そ病菌の胞子に適用して、胞子の発芽を自己制御する3種の新規化合物を天然界より初めて単離し、構造を決定した。 3.さらにAspergillus属についても研究を展開し、上記のストレス状態で生成するマイコアレキシンをその1菌株より単離して、その構造をほぼ決定するに至った。 4.イネ科植物の重要病害菌であるBipolaris属の数種の菌株より植物病原菌としての生活環の制御に関与すると考えられる畿種かの新規化合物を単離して構造を決定した。しかしこれらの化合物の生物学的意義についてはなお検討すべき状態にある。 5.本研究の遂行にあたって、ストレス化合物の生成および蓄積を定性・定量的に検出できる新しい生物検定法を確立した。 以上2年間における研究成果を要約したが、当初の研究課題の1つである揮発性のストレス化合物の変動に対するものとマイコアレキシンの生合成に関する成果は、現状ではまとまった成果と結論を得るには至っていない。
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