標高400m、年最大積雪深約3m、平均傾斜角約13度(2〜24度)の西北西向き斜面にある28年生スギ人工林内において、面積640m^2のプロットを設け、地形測量を行い、等高線間隔10cm、縮尺125分の1の地形図を作成した。この地形図内の立木位置を中心として半径2mの円をえがき、この円内の等高線の数と形状から各立木位置のもつ平均傾斜角と地形曲線率(斜面下方の中心角で表示)を求めた。プロット内の全立木から雪害木44本を除いた98本を対象に樹型級区分を行い、上層の1、2級木と、3級以下の下層木とに分けた。1級木は38本、2級木は36本、下層木は24本である。1級木の地形傾斜角の平均値は10度であり、2級木と下層木の平均値はともに14度であった。1級木は他に比べ傾斜の緩いところのものが多い。上、下層木とも地形曲率180度前後の凹凸の少ない位置に立木が多いが、その割合は1級木で少なく、下層木で多い。樹高10m以上のものは傾幹幅100cm以下であり、1級木では最大値51cmであった。樹高10m以下のものは傾幹幅が少さいものから大きなものまで存在する。樹高の高いものは早い時期に、冬季の埋雪から脱っし、根元曲がりが安定したものと考えられる。樹高の値の小さい立木は地形曲率180度前後に集中するが、樹高が大きくなるにしたがい、地形曲率の広い範囲に存在する。180度前後の平衝斜面に傾幹幅の大きいものが多く、凹凸それぞれ曲率が加わると傾幹幅の小さいものしか存在していない。地形曲率180度前後の平衝斜面にある立木は傾幹幅の大きいものと小さいものが混在している。成長が悪く、根元曲がりの大きい立木が平衝斜面以外に存在しない理由は、28年生以前に雪害等により淘汰されたもの考えるのが妥当である。かかる立木が生存し得る環境として、等高線方向に平衝な斜面では積雪環境が有利に働くものと推察された。
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