本研究では、8、28、60年生の3林分において地形測量を行い地形図を作成し、立木位置付近の微細地形解析を行い、現在生存している林木の立木位置と地形要因との関係について検討した。 上下傾斜角の差と地形曲率との関係は、8年生、28年生および69年生でともに高い正の相関を示した。2要因間の相関図において凹凸の境界となる位置、すなわち上下傾斜角の差では0度、地形曲率では180度にそれぞれ座標軸を移動すると、立木位置を示す点は第I象限に多く分布し、次は第III象限であり、第II象限、第IV象限は少ない。第I象限、すなわち斜面傾斜方向、等高線方向ともに凸型の地形に分布した立木は、8年生では尾根部に位置する立木を除いた全立木の37.9%、28年生では全立木の40.9%、および69年生では全立木の60.6%を占め、林齢が高くなるにつれてその割合が高い。また、第I象限に位置した立木では28年生で1級木が44.4%、2級木が37.8%、また69年生で1級木が44.1%、2級木が27.4%を占めともに上層木、特に1級木の割合が高かった。逆に、第III象限すなわち斜面傾斜方向、等高線方向ともに凹型の地形には28年生林において18年生時に行われた雪害木除伐の伐根が多く位置し、69年生では無立木地が多く位置していた。また、第III象限内において28年生で2級木が38.1%、4級木が33.3%、また69年生で2級木が34.9%、4級木が25.6%を占め、ともに2・4級木の割合が高かった。このことから豪雪地において、斜面傾斜方向、等高線方向ともに凹型の地形に位置する立木は、積雪の匍行圧および沈降圧による雪害のため成長が不良となり、また枯損するために林齢が高くなるにつれて立木本数は減少するものと推察された。一方、斜面傾斜方向、等高線方向ともに凸型の地形に位置する立木は、致命的な雪害による枯損が少なく、良好な成長を示し、林齢が高くなるにつれて上層木になりやすいと推察された。
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