研究課題/領域番号 |
01560163
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
林 拙郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50024584)
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研究分担者 |
大村 寛 静岡大学, 農学部, 助教授 (30091151)
本多 潔 三重大学, 生物資源学部, 助手 (40181549)
川邉 洋 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80126036)
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キーワード | 斜面崩壊 / 表層崩壊 / 豪雨 / 自然災害 / 地すべり性崩壊 / 土の塑性理論 / 浸透流 |
研究概要 |
山地斜面に発生する表層崩壊の発生メカニズムについて検討を行った。山地の表層崩壊は、下層に比較的堅い地盤が存在すると、上層の比較的軟らかい風化土層等が崩壊する場合が多い。一般に、下層の地盤は透水係数が小さく、上部土層の透水係数は大きい場合が普通である。このような斜面に雨水が浸透すると、上部土層内に浸透流が下層面にほぼ平行に発生する。浸透流の水位が上昇すると、斜面上部にまずクラックが入り、続いて斜面崩壊が発生する。 このような考え方に基づいて、現地観測(河邉・本多)と室内実験(林・大村)の両方から検討を行った。現地観測のグル-プは、現場斜面にて人工的な注水による移動量の測定を行った。注水によって崩壊させるところまでは行かなかったが、注水量と地下水位との関係や地下水位と移動量との関係については検討することができた。その結果、地下水位と移動速度との関係についてはかなり明確な関係があることが示された。室内実験のグル-プは、斜面内の浸透流の上昇に伴う上部クラックの進入を確認し、クラックによる土の自重を三角形荷重としてすべり線の考察を行った。用いた理論はソコロフスキ-による内部摩擦角φのみを考慮したときの曲座標形式の理論であり、これには、内部応力を動径に比例させる仮定や、主応力と動径との角φに関する仮定が含まれている。この理論より平均応力と角φに関する二つの微分方程式が求められ、上部領域と下部ランキン領域との二つの境界条件に対する解を求めた。実験値より得られる崩壊形状は、通常のランキン領域のすべり線を形成しないので、実験値に合う下部境界条件を設定して、再度数値計算を行った。その結果は、すべり線の形状に近いものであることを確かめた。このように、砂質地盤の場合には、ソコロフスキ-の方法によってすべり先線が計算できることが示された。
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