1989年5月に京都市近郊のアカマツ-コナラ林の斜面に上部と下部に調査区を設定した。 1.土壌堆積腐植の形成過程を実験的にリタ-バック法を用いて調査した。斜面の上部と下部の調査区に、各々150のリタ-バッグを設定し、5月から1ケ月おきに回収し、封入したマツ針葉の重量の減少を測定した。また、リタ-バッグから土壌動物を抽出し、分解に伴う土壌動物の変化を調べた。今年度の調査では斜面上部、下部での重量減少、土壌動物の個体数、等に差は認められなかった。 斜面下部と上部では、堆積腐植の様式が異なり、下部でリタ-層のみから成るムル型、屋根の上部では、厚いLにH層の分化を示すモ-タ-型の土壌堆積腐植が認められた。 今年度の結果から、リタ-の初期分解の速度は、リタ-の性質上より決まっており、2つの立地条件で異ならないことが示された。 2.実験的にリタ-の分解の過程をおうことで、堆積腐植の形成の全過程を調べることができないので、土壌の堆積腐植層の断面を作成し、上層から下層に向ってのリタ-分解の様式、土壌植物のリタ-分解への役割についての観察を行った。 3.以上のリタ-バッグを用いての分解実験と土壌堆積腐植層の断面の微形態の観察から、土壌堆積腐植の形成過程についての土壌動物の役割についての検討を行った。
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