研究課題/領域番号 |
01560167
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
北川 泉 島根大学, 農学部, 教授 (60032546)
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研究分担者 |
伊藤 勝久 島根大学, 農学部, 講師 (80159863)
井口 隆史 島根大学, 農学部, 教授 (70032604)
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キーワード | 産地形成論 / 林業システム化論 / 森林経営 / 素材生産 / 原木市売市場 / 製材工場 / 製品市売市場 |
研究概要 |
1.津山・勝山地域は、1980年代に入って以降の国産材不況下においても、産地として更なる発展を見せている。それを可能としたのが、1つは、東濃産地の経験に学んだ高規格材・乾燥材生産への取り組みとその定着である。つまり、更に高い次元での産地形成を行ったことである。そしてもう1つは、そうした地域としての取り組みが、個々の製材工場レベルで行われるとともに、地域産製品の大部分を取り扱う製品市売市場と広域に原木を集荷する一方、地元の素材をも生産・販売する原木市売市場の協力とイニシアティブの下で、地元林材業界が、組織的意識的に取り組んだことである。市場情報は、地元に存在する製品・原木の各市場からフィ-ドバックされ、それぞれの段階の取り組みとして、対応行動が取られるような仕組ができているのである。つまり、地域林業の組織化・システム化が、原木と製品両段階の市売市場を中心とする地域の素材・製品販売・流通の合理化、付加価値向上運動を通じて行われているのである。 2.こうした、産地形成と地域林業の組織化・システム化の2つの方向を肉ばなれせず、統一的に追及することを可能としているのが、原木及び製品市売市場とりわけ全国的にも数少ない山元に立地する製品市売市場の存在なのである。 3.産地としての発展の過程で、地域の伐採適期資源は、枯渇したが、その後資源の量的・質的整備が急速に進みつつある。市場情報が確実にフィ-ドバックされつつ行われる技術の改善と、施業の体系化は急速に進み、将来、原木としての優良材をも産出しつつ、苗木の段階から育林生産、素材生産、製材加工、製品販売に至るまで、体系的に組織化された、強固な総合的(素材・製材両段階での)産地を形成しうる可能性を秘めている。
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