研究概要 |
本年度は前年度にひき続き国産材産地の実態調査を行うとともに、産地から消費地市場への追跡調査さらに消費地市場の需要動向調査を進めた。さらに今年度は新興林業地域の産地化への取り組みにも注目し、特徴的な展開を示している宮崎県の耳川流域,熊本県の小国町(悠木産業),高知県嶺地地域(産直住宅),徳島県の相生町(協業組織)などの組織化の調査を行ってきた。 その結果.先進的林業地域及び産地では.量的発展(集中)から質的発展へと新たな対応がみられている。すなわち製材産地として乾燥材生産へのねり組み、集成材生産化,製材品のモルダ-加工など製材品の高付加価値化.工業製品化への取り組み、さらに共販の展開、製材の組織化など.産地の高度化が図られつつある. 一方,新興産地では地域資源の地域内活用を目的に製材工場の設立など加工基盤の強化,さらに産直住宅の取り組みなど地域産業起しと一体となった産地化への取り組みが始まっている。 その結果,これまでの国産材素材の流通関係も新たな様相を呈してきている.すなわち新興産地の台頭とともに資源及び販売をめぐってこの新たな産地間競争が生まれてきている。これまでの集中産地も資源の調達をめぐって厳しい立場に置かれることになろう。その意味で今後産地間競争が原料調達と製品販売をめぐってどのような展開を示すかが,今後の国産材市場の方向を決める重要なカギとなる。
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