研究概要 |
近年,国産材産地の製材業においても木材乾燥に対する関心が急速に高まり,乾燥木材を地域産材の銘柄化の軸にしようとする動きが強まっている.乾燥木材が圧倒的に多い本国挽外材製品の競争に加えて,人工林の成熟にともなって激化すると思われる産地間競争への最も有力な方策として,乾燥木材によって製品差別化を行おうとする試みが増えているのである. ところで木材乾燥では,原木丸太の乾燥が,荒挽き材の天然乾燥とともに人工乾燥の前処理としてきわめて重要である.原木丸太の乾燥は,人工乾燥の際に生じる木材の割れや狂いを減らし,また製品個々の含水率のばらつきをなくす等,製品分どまりを高め,乾燥コストを軽減し,乾燥木材の品質向上を図る上でもきわめて重要な過程である. そこで,このような乾燥原木丸太の生産と流通の現状を全国的に調査した.1990年の乾燥原木の生産量は,国有林が230千m^3,民有林が458千m^3,計688千m^3であり,年々着実に増大している.民有林では奈良県を中心とする近畿地区が164千m^3で圧倒的に多く,素材生産量に対するシェアも11%(全国3%)と際だって高い.近畿についで量的には東北,九州が大きいが,いずれも素材生産量に占める割合は2%弱に過ぎない 国有林では,乾燥原木はサンドライと命名され,国有林材の有利販売のエ-スと位置づけられている.11月以降伐採,4〜6月販売の寒伐り材と梅雨明け伐採,9〜11月頃販売の葉枯らし材との2種類がある. 乾燥原木は,取扱輸送や虫害等については評価が高いが,割れひび割れ,青かび,やけ(変化)など木材の化粧性に関わる点についてはマイナス評価が多い.特にヒノキのサンドライについてはマニュアルの見直しを求める声が強い.
|