研究概要 |
メチロ-ルフェノ-ル(MP)とユリア(U)を共縮合させる際には、MPのオルト位とパラ位のメチロ-ル基のUとの反応性の違いが生成する共縮合体の化学構造を左右する。本研究では、この共縮合体合成における基礎反応であるメチレン結合生成の化学動力学を、2,4,6ートリメチロ-ルフェノ-ル(TMP)、2ーヒドロキシベンジルアルコ-ル(OMP)、4ーヒドロキシベンジルアルコ-ル(PMP)をモデル化合物に用いて解析し次の結果を得た。1.OMPおよびPMPをそれぞれ過剰のUと反応することにより共縮合反応を擬1次反応として取り扱い、PMPの反応性がOMPより10倍程度高いことを認めた。2.TMPとUとの共縮合反応においては、オルトメチロ-ル基とパラメチロ-ル基がUと同時に反応する併発系となる。この系の反応を2次反応として速度定数の比をr=ko/kpとすると、rは値は各種の酸触媒で0.06ー0.08の範囲にあった。3.メチロ-ルフェノ-ル混合物とUから実用的な共縮合樹脂を合成する際には、共縮合と同時にメチロ-ルフェノ-ル同士関のメチレン結合生成による自己縮合が併発する。このような系について、OMPとPMPを用いてそれぞれの自己縮合と共縮合の2次反応速度定数の比(K=k〔自己縮合〕/k〔共縮合〕)を決定することができた。その結果、OMPのKの値は5ー10程度であった。一方、PMPのKの値は0.5程度であった。このことから未置換のパラ位の存在が、自己縮合生成に大きく関与することが判明した。 以上の結果より、共縮合率の高いフェノ-ル・ユリア共縮合樹脂を合成する条件が理論的に設定できることになり実用的な応用が期待される。また、このような併発反応系の動力学的解析は、今までホルムアルデヒド系樹脂の分野ではなされておらず、この手法がこの分野の発展に繋がると思われる。
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