研究概要 |
初年度は主に無機系新素材/セルロ-ス混合サスペンションの為の流動装置に改良を加え,各種の流動混合分散系の実験デ-タを蓄積し,画像デ-タの数値的な評価法および混抄機能紙の抄紙システムにおける計測制御の可能性について検討した。更に本システムの塗工顔料の流動挙動への適用を探る目的でラテックスエマルジョン/顔料混合系の界面化学的およびレオロジ-的挙動についても検討を行なった。研究実績を要約すると以下の通りである。 1.流動挙動の撮像のための薄型平板セルを開発したことにより,従来よりも実際の抄紙システムに近い濃厚なサスペンションの撮像が可能となり,また焦点深度が浅くなったために鮮明な画像が捉えられるようになった。 2.デジタル幾何学による閉曲線情報処理およびグラフ理論を凝集体の構造の数値的評価に適用することにより凝集の状態を抄紙特性との関連から定量的に評価することが可能となった(イギリスで発表・出版)。 3.抄紙のウェットエンドシステムの計測制御との関連から荷電をもったサスペンションの流動系の自動制御の可能性についての検討を行なった(イギリスで出版予定・アメリカで発表予定)。 4.各種の添加剤システムによるサスペンションの凝集挙動を画像デ-タから検討し、本評価システムを用いることにより添加剤システムの混合サスペンションに対する作用機構をある程度まで解明できることが明かとなった。濃厚流動分散系としての塗工顔料システムへの適用可能性の検討は現在進行中である。 設備備品との関連では32ビットのパ-ソナルコンピュ-タを導入したことにより従来より高速にかつ大量のデ-タ処理が可能となった。次年度は本年度のデ-タをもとにシ-ト化の最適条件を検討する予定である。
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