研究概要 |
初年度の実験装置の改良による成果をふまえ,本初度は無機系新素材/セルロ-ス混抄機能紙および湿式不織布のモデルとしての配向性シ-ト調製のための紙料サスペンションの条件の検討を中心に実験を行い,また若干のシ-トの物性デ-タの解析を行なった.研究実績を要約すると以下の通りである. 1.手抄き法と配向性抄紙機によるシ-ト調製を比較すると,配向性マシンでは遠心力とノズル排出速度の組合せで多様な特性のシ-ト調製が可能であるが,物性値には組成成分の界面化学的特性が大きな影響を及ぼす. 2.無機系新素材・パルプ混抄体シ-トの地合(=シ-トの局所的質量分布)をシ-トの透過光による画像をデジタル画像処理をおこなうことにより解析したところ,添加薬品の種類・組成によりフロック形成の大きさ・形状が大きき変動することが判明した. 3.紙料サスペンションの流動画像とシ-ト地合のデ-タより最適化数式モデルの構築のための基礎的デ-タの蓄積を行なったが,現在主要因子の解析中であり,モデルは界面化学的デ-タと流体力学的デ-タの動的平衡状態を表現する多元連立方程式となると考えられる.解法としては多元の行列の近似解法を使うことになると予測され,モデルのシミュレ-ションにより最適化の条件が明らかになると期待される. 4.コンピュ-タグラフィクス(CG)関連のソフトウェアにより凝集体の3次元構造の表現のための基礎的デ-タの蓄積を行なったが,二方向以上から凝集体の高速画像を得ることにより凝集体の3次元構造モデルの組立てが可能であるが,移動体計測上の問題点が浮かび上がってきたので,今後の解決が必要である. 本年度設備備品であるフィルムレコ-ダによりCG画像の視覚による比較が可能となった.
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