パ-ティクルボ-ドは、ボ-ドの厚さ方向の寸法安定性が悪く、比重が大きいわりに強度が低い欠点をもっている。本研究は、これらの欠点を、パ-ティクルに耐水性の高いフェノ-ル樹脂を含浸し、さらにそれらのパ-ティクルを配向させることによって改善しようとするものである。まず、分子量の異なる3種類のレゾ-ルタイプの水溶性フェノ-ル樹脂を合成した。そして、その樹脂の数平均分子量をゲル・パ-ミエ-ション・クロマトグラフィ-により測定した結果、それぞれ、369(樹脂A)、621(樹脂B)、1100(樹脂C)であり、分子量分布もかなり狭い樹脂であることが明らかになった。これらの樹脂を、それぞれ、スギ間伐材に含浸・硬化させたが、含浸率25%の場合、かさ効果は、それぞれ、8、3、1%であり、その後吸水させて寸法変化を検討したが、抗膨潤能は、それぞれ、60、20、0%であったことから、樹脂Aは細胞壁中に入ってかさを増し、また高温硬化により壁中のOH基と水素結合あるいは化学結合を生じて、OH基をブロッキングし大きな寸法安定性が得られるが、樹脂Cは壁中に入らず、主として細胞内腔に多く沈着し、寸法安定性に効果をもたらさないことが明らかになった。樹脂AとCおよびBとCを混合してパ-ティクルに噴霧して、比重0.7の10mm厚の単層ボ-ドを製造したが、湿潤時曲げや吸水厚さ膨張率などの耐水性試験では、樹脂AとCの組合せによるボ-ドの方が耐水性に優れていること、パ-ティクル間の接着力を示すはく離強さは、樹脂BとCの組合せによるボ-ドの方が大きいが、吸水厚さ膨張率試験後のはく離強さは樹脂AとCの組合せによるボ-ドの方が大きいことなどの知見が得られた。
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