パ-ティクルボ-ドの寸法安定性および耐水強度やクリ-プ性能を改善する目的で、予めパ-ティクルに耐水性の高い水溶性レゾ-ルタイプのフェノ-ル樹脂を含浸し、さらにそれらのパ-ティクルを配向させたボ-ドの製造を試み、その材質に及ぼす樹脂の分子量および分子量分布の影響について検討した。今年度は、分子量の異なる5種類の樹脂(数平均分子量は、それぞれ、376(樹脂A)、498(B)、632(C)、823(D)、1122(E))を合成した。これらの樹脂を、それぞれ、スギ間伐材の木口試験片に含浸・硬化させたが、含脂率25%の処理材の吸水による抗膨潤能は樹脂Aで約45%であるが、その値は分子量の増加とともに急激に低下し、樹脂DやEでは約10%となる。分子量の小さい樹脂は細胞壁中に入ってかさを増し、また高温硬化により木材実質のOH基と水素結合あるいは化学結合を生じて、OH基をブロッキングし大きな寸法安定性が得られるが、分子量が800以上になると樹脂は壁中に入らず、主として細胞内腔に多く沈着し、寸法安定性に効果をもちらさないことが明らかになった。処理材の乾水繰り返しによる重量減少率は樹脂Aが大きいが、抗膨潤能の低下率は小さい。 樹脂AとDあるいはEおよびBとDあるいはEを混合してパ-ティクルに噴霧して単層ボ-ドを製造したが、湿潤時曲げや吸水厚さ膨張率などの耐水性試験では、樹脂BとEの組合せによるボ-ドの方が耐水性に優れていること、パ-ティクル間の接着力を示すはく離強さは、樹脂BとDの組合せによるボ-ドの方が大きいが、促進劣化処理後のはく離強さは樹脂AとEの組合せによるボ-ドの方が大きいことなどの知見が得られた。
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